専門看護師とは、特定の専門分野についてより高い水準の看護を提供するために日本看護協会が認定する制度です。がん看護や老人看護など、いくつかの分野において専門看護師制度があります。
災害看護もその1つで、災害が発生した時に限られた資源や環境の中で、被災者に対して適切な心身のケアを提供することを目的としています。
災害看護が生まれるきっかけとなったのは、1995年の阪神淡路大震災でした。この時、災害下という普段と違う状況の中での被災者ケア、健康を保つための環境整備という点がいかに未整備であるかということが浮き彫りになり、災害看護という分野が考えられ始めました。
実際に専門看護師の分野として災害看護が認定されたのは2016年で、まだ始まったばかりの分野とも言えます。
災害看護の大きな目的は、災害下での被災者に対する適切な看護です。
被災者はもともと足腰が悪い人であったり、特定養護老人ホームに入所している人だったりと、様々な状態の人がいます。それぞれの人に適切な看護を提供するためには、患者本人はもちろん、訪問看護師やケアマネジャー、役所の担当者などとも連携を取っていくことが必要不可欠です。
東日本大震災の際には、このような連携がまだまだ不十分であるというということが浮き彫りとなりました。拠点とするつもりであった診療所が津波で流されたり、ガソリンの供給が不足となったことも想定外となりました。
どれほどの大きさとなるか分からない自然災害を前にして災害看護が適切に機能していくためには、日頃からあらゆる方向で連携を深めることが、今後の災害看護における課題と言えます。